囲碁棋士 井山裕太六冠

話題になることがあまりなく淋しい限りなのですが、
囲碁界はいま、井山裕太一強の時代になっています。

どれぐらい強いかというと

囲碁の七大タイトル(棋聖・名人・本因坊・王座・天元碁聖・十段)を
 すべて獲得する『グランドスラム』を23歳9ヶ月の最年少記録で達成。
 ※過去にグランドスラムを達成したのは趙治勲張栩の2人だけ

・現在、十段以外のタイトルをすべて保有している。
 六冠は囲碁史上初。

といったように、将棋で言えば最盛期の羽生さんを
思い起こさせるほどの活躍を見せています。

先日の碁聖戦五番勝負でも好調の河野臨九段を3勝2敗で退け六冠を維持。
同じく河野臨九段が挑戦者となった9月4日からの名人戦に向け、
早くも先制パンチを見舞った形です。


そんな井山裕太が20歳で史上最年少名人になるまでの対局から
17局を選んだ打碁集がこれ。

井山裕太20歳の自戦記―史上最年少名人までの17局
  井山裕太20歳の自戦記―史上最年少名人までの17局

並み居る高段者を次々と打ち負かしてきた中から厳選された17局とはどんな勝負なのか?
レビューによると解説が丁寧で非常に読みやすいとのこと。

囲碁を覚えて10年ほどになりますが、最近ようやく
「ああ! この一手はこういう狙いがあるのか!」ということが
棋譜並べをしていてわかるようになってきたぐらいの棋力なので、
丁寧なのはありがたいですね。

余談ですが、第61回NHK杯(2013年度)準々決勝、
井山−高尾戦は並べていてワクワクするほどの名局でしたよ。
※この対局は高尾紳路九段の黒1目半勝ち


現在の所、打碁集として出版されているのは上記の他、下記2冊だけの模様。
これだけの活躍の割にはなんとも物足りない。

井山裕太 自戦細解―囲碁
  井山裕太 自戦細解―囲碁

井山裕太栄光の軌跡―碁界を席巻した天才棋士
  井山裕太栄光の軌跡―碁界を席巻した天才棋士



こちらは師匠である石井邦生九段が井山裕太の成長の記録を著しています。

わが天才棋士井山裕太
  わが天才棋士・井山裕太

関西で放送されていた「ミニ碁一番勝負」という番組に当時6歳だった井山が出場。
9路盤対局で5人抜きを果たし、番組の解説をしていた石井邦生が弟子にしたというのは有名な話。

数年前にスカパーの囲碁将棋チャンネル井山裕太の出ていた回が放送されていて、
「あれ? これ井山裕太じゃね?」って興奮していた覚えがあります。
その回は腕に覚えのありそうな爺さんが井山の鋭い攻めをかわして打ち負かしていたのですが、
きっと今頃あの爺さん「俺ね、あの井山裕太に勝ったことあるんだよ」って
事あるごとに言っているに違いありません。

確か「ヒカルの碁」のアニメでやっていた「Go!Go!囲碁!」のコーナーにも
プロになったばかりの井山裕太が出ていました。
偶然とは言え、いろいろ見かけていたなあと思います。


既に囲碁界の第一人者として、地位を確立しているという証拠がこの本。

井山裕太のいちばん強くなる囲碁入門
  井山裕太のいちばん強くなる囲碁入門

その昔、初めて買ってもらった将棋の本が「中原誠の将棋入門」だったのです。
漫画のなかで将棋を教えてくれた優しいお兄さん中原誠
それと同じように、囲碁を覚えようとする子供にとって、
井山裕太は「優しい囲碁のお兄さん」になっているのでしょう。

名人戦、このまま六冠をキープして、
一気に全タイトル同時制覇まで突っ走ってもらいたい反面、
そろそろ河野臨九段にビッグタイトルを獲ってもらいたい気持ちもあります。

しばらく井山一強の時代が続いていましたが、
本因坊戦の挑戦者になった伊田篤史
NHK杯に出場している余正麒や一力遼など、
ここ最近、凄い若手がわらわら出てきている気がします。

気になる棋士の情報や棋戦の状況などは、
やはり日本棋院のホームページが詳しいです。
特に棋戦の予選表を見ていると意外な若手を発見できるかも。

囲碁の日本棋院



とにかく今、囲碁界が熱いんだよ! みんな! 盛りあげていこうぜ!



そんな思いが時に空回りしたりするけどな!